意思表示は遺言で残そう
美香さん(仮名)は独身で、ずっと父親と同居していました。
父親は、同居している美香さんに「おれが死んだら家はお前にあげるから」と言っていました。
結婚して遠方に住んでいる兄も、父親の話に同意していました。
そのため、美香さんもそのつもりでいました。
しかし、いざ父親が亡くなると
兄が「家の名義を共有にしてほしい。それがだめなら、その分を現金でほしい」と言ってきました。
父親には、家以外にこれといった財産はありません。
そのため、美香さんはどうしたらよいか悩んでいます。
このケースでは、口約束や口頭で伝えられただけで、「遺言」がありません。
気の毒ですが、「遺言」がない以上は法定相続が原則です。
法定相続以外の分け方をする場合は、遺産分割協議をして兄に納得してもらう必要があります。
兄が納得してくれない場合
①家を共有名義にする
②家の半分相当額の現金を美香さんの貯金から払う
のどちらかになります。
以前はよいと言っていたとしても、状況が変わったため考えを変える、そういうことはよくあります。
親という重しがある時は、子どもたちの力のバランスが保たれていたけれども、いざ親が亡くなると各々が主張を始めることがあるのです。
このように後々もめないためには
父親は「遺言」という正式な書面を残すべきでした。
口頭で伝えただけでは、その意思は法律的に有効にはならないのです。