制度上、成年後見人は成年被後見人に代わって契約を結ぶことができます。
しかし、先日大手携帯ショップで、被後見人のスマホ契約を結ぼうとしたら大変な目に遭いました。
スマホ契約を結ぶには、とにかく本人を連れてこいの一点張りなのです。
長期入院している人はどうするのか訊ねると、「家族が代わりに契約して、本人にスマホを使わせる」という回答。耳を疑いました・・・。利用者本人以外が契約していいのか?そっちの方が問題ではないのか??
「登記事項証明書」を見せて、契約する権限が後見人にはあるのだと説明してもだめ。
後見制度がまだ世の中に広まっていないせいだとは思いますが、もともと携帯契約では成年後見制度のことなど考慮していないんだろうなという印象。おそらく被後見人の契約件数は少ないのでしょう。
それで、仕方なく高齢のご本人をお連れして、携帯ショップへ。
必要書類は「キャッシュカード+暗証番号+本人確認書類」とのこと。
しかし!
後見設定されている銀行のキャッシュカードではデータ認識しなかったのです‼
そして、口座振替依頼書を記載して再度来店するよう言われ唖然。。
事前に電話で必要書類を確認してから来店したのに!!
そう言いたいところを堪えて、
私)今日、本人確認はしたので2回目は後見人だけの来店でいいですか?
店員)いいえ、契約には本人の来店が必要です。
私)あの~、本人が実在するのは、たった今横に本人がいるので確認できたでしょう?なぜ、2回目も本人の同行が必要なのですか?
店員)本人のサインが必要なので。
契約は後見人ができるのだから、2回目は後見人だけでやってほしいと伝えたものの、「だめ」の一点張り。
本部らしきところに何度も電話で確認していたので、携帯会社として成年被後見人向けの対応がしっかり定まっていないのかもしれません。
足の悪い高齢者にとって、移動は本当に大変なのに。
確かに不正で携帯契約する人もいるだろうから、本人確認をしっかりしたいのは分かります。
しかし、1回目来店時に本人確認をしており、書類不備のための再来店なら被後見人は来店しなくてもいいのではないでしょうか?
ましてや、家庭裁判所で認められた成年後見人が手続きするのです。登記事項証明書もあるのですよ?いったい契約できるのは誰だと認識しているのでしょう?!
後見制度の意味はいったい何なのか!!と心の中で叫ぶ私。。。
大手携帯会社でこの対応ですから、格安simの会社はもっと大変かもしれません。
そもそも、クレジットカードがないと契約できない携帯会社もあるくらいです。
こうやって、契約のハードルを上げることで、スマホで情報を得る人とテレビや新聞の旧メディアだけで情報を得る人の2極化は広がっていくんだろうなと感じました。
携帯会社には、後見制度の意義をもっと考慮してもらいたいものです(´・ω・`)
被後見人スマホ新規契約の必要書類
- スマホ利用者の本人確認書類
- 口座振替依頼書
- 同意書(携帯会社指定様式)
- 後見の登記事項証明書 原本(発行後3ヶ月以内)
- 後見人の本人確認書類(住所記載の原本)
※後見人が法人の場合は、法人の社員証か名刺も必要
※大手携帯会社の必要書類一例です。契約される方はあらかじめ携帯会社へ確認しましょう。
今回の学び
あらかじめ、携帯ショップで「口座振替依頼書」をもらっておき、銀行印を準備してから来店したほうがよい。後見設定されたキャッシュカードでは手続きできない。
行政書士/出入国在留管理局申請取次者
大学卒業後、大手損害保険会社勤務、中国6年在住を経て2015年行政書士登録。東京都千代田区神田で外国人向けの在留資格申請を取扱う。