「後見制度は一度使うとやめられない」
そんなイメージをお持ちではないでしょうか。

実際、これまでの成年後見制度は、本人の判断能力が低下した場合に長期間にわたって支援が続く仕組みであり、「重たい制度」と感じる方も少なくありませんでした。

しかし現在、この制度は大きく見直されようとしています。2028年の改正では、より柔軟で使いやすい制度へと変わる予定です。

本記事では、これからの後見制度のポイントと、今からできる準備について分かりやすく解説します。

そもそも「成年後見」って何?

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が低下した方が、財産管理や契約手続きをひとりで行うのが難しくなったときに、後見人がサポートする制度です。銀行の手続き、施設入所の契約、遺産分割の話し合いなど、「誰かに代わりに動いてほしい」という場面で活用できます。

ところが現在の制度には、「使いたくても使えない」理由がいくつかあります。

今の制度の「困ったところ」

問題1

一度始めたら、ずっと続く
後見が始まると、本人が亡くなるまで原則として終わりません。「相続の手続きだけ手伝ってほしかった」のに、その後もずっと後見人が関わり続けることになります。

問題2

原則、財産管理を全部任せなければならない
「特定の手続きだけ」という部分的な使い方が難しく、利用をためらう方が多いのが現状です。

問題3

本人の意思が反映されにくい
後見が始まると、自分で自由に使えるお金や決められることが制限されてしまいます。

2028年の改正で何が変わる?

今回の改正案は、こうした問題を解消するための大きな一歩です。

1. 途中で終わらせることができる

改正後:家庭裁判所への申告で終了が可能に

「遺産分割が終わったので、後見も終わりにしたい」という希望が通るようになります。本人・家族・後見人からの申し立てで手続きできます。必要になれば再開も可能です。

2. 目的を絞った使い方ができる

改正後「遺産分割だけ」など特定の場面に限定したサポートが可能に

「相続手続きが終わったら後見も終わり」という使い方が現実的になります。必要な時に、必要な範囲だけ使える制度に近づきます。

3. デジタルで遺言が作れるようになる

改正後パソコンで作成したデジタル遺言が法的に有効に

手書きが難しい高齢の方にとって、遺言作成のハードルが大きく下がります。法務局がデータを保管・管理します。

一人暮らしの方に特に知っておいてほしいこと

65歳以上の一人暮らし世帯は今や全世帯の約16%(855万世帯)。家族に頼れない方ほど、この制度の変化が大きな安心につながります。

ただし一点、注意も必要です。途中終了が容易になる分、財産目当ての親族などが「後見を打ち切らせよう」と圧力をかけるリスクも生まれます。一人暮らしの方は特に、信頼できる専門家との連携が大切になってきます。

今日から始める準備チェックリスト

新制度は2028年度から。でも、今すぐできる備えがあります。

  • ・判断力があるうちに「任意後見契約」を検討する(信頼できる人を後見人に指定しておく)
  • ・「見守り契約」で定期的な連絡・訪問の仕組みをつくる
  • ・「財産管理委任契約」で手続きを任せられる体制を整える
  • ・遺言書を作成・見直す(現行制度でも今すぐ対応可能)
  • ・気になることがあれば、まず専門家に相談してみる

この改正により、後見制度は

「一生続く制度」から「必要なときだけ使う制度」へ

大きく変わろうとしています。この変化を活かすためには、元気なうちからの準備が重要です。ご自身やご家族のことで気になる点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。